―回想/花屋にて―
花屋の店員――もといトレイルさん>>143と話終えた頃だっただろうか。花屋の風鈴が鳴り、ひとつ影が店内に落ちました。新しいお客さんかとそちらを振り返れば、淡い薄青の髪を持った和服の方>>33。この國で和服なんて珍しいものだと目をしぱしぱとしていれば、突然に名前を呼ばれ思わず畏まった。
「僕がティソですが…」
ついで渡された傘は遠慮がちに受け取ります。はていつ落としたんでしたっけと古い思考を巡らせれば、級友から背を向けた頃耳を通った傘首の落ちる音を思い出しました。「…まーちゃん、」思わずに呟いた聲は級友を―彼女を想う聲。
ただ呆然に近しい顔持ちでそれを受け取れば、僕は名も知らない傘届け人に名前を尋ね、彼の名前を聞けずとも、家が近いらしいならと、トレイルさんと道半ばまで共にしたのだったか。*
―回想/了―
(311) 2014/10/09(Thu) 00時頃