[射殺されるトレーラーの運転手。制御を失ったトレーラーは、
ガードレールからまっすぐ転落する。ロイはトレーラーの屋根にしがみつく。]
語り:死んだ、と思った。俺に日常は贅沢すぎる悩みなんだと。けれど、生きたかった。生きたかったんだ。これほどまでに生を渇望したことはなかった。機械のように敵を殺し、機械のように機能を果たすのが俺だった。そんな俺が、こんなにも、生きたいと思うなんて。乱れた呼吸、軋む身体に鞭を打ち、立っているだけでも精一杯なのに、俺は笑っていた。
[倉庫街。車が俺を取り囲む。男達がロイに銃を向ける。
ナナオはロイに呼びかける]
「諦めな。今ならアタシがボスに頼んでやるよ」
語り:俺は笑っていた。身体が熱かった。いつの間にか全身の痛みはどこかにいってしまった。これが最後でいい、俺は日常に手を伸ばしたんだ、なんて思わなかった。生き延びて、必ず、また再び二人に会って、そう、今日は花見なんだ。笑っちまうが、一応主役なんだ。主役の俺が欠席するだなんて、そりゃ、だめだろ。
(307) 37m0 2018/04/08(Sun) 07時頃