――"太陽など、昇らなければ良いのに"
[手を取ったまま、ぽつりと諳んじる。
"ロミオとジュリエット"……まさか、ジャニス自身が自分の意思で、この台詞を言う事になる日など、来るとは思っていなかった。
彼の家柄など、結局聞く事は出来なかったけれど。それ以上に大きな壁が立ちはだかっている様に感じられる。この手を取っても、どうせ、その壁は崩れてはくれないのだろう]
"あなたになら、裏切られても、いいわ"……、
[ほんの小さく呟いた言葉は、彼には届かなかっただろう。
今だけでも、傍に居てくれるのであれば。朝までの短い間でも、彼を独占できるのなら、それで構わないと。そう、自らに言い聞かせる様に呟いた言葉は、聞かれてはいけない、筈だから]
ねえ、今夜は、どんな夢を見せてくれるの?
[微笑みすら浮かべて、小さく首を傾げる。手を取って導かれる先が何処であっても、この手を離しはしないと、そう示す様に、重ねた手に力を込めながら]
(303) 2014/10/06(Mon) 16時頃