ええ、アタシも。邪魔されたく、ない。
――二人きりでいさせて。
[眉を下げる相手に、ジャニスは目を細めて笑みを返す。きっと、何の違和も無く笑えているだろう。
……ああけれど。やっぱり彼の前では、普段通りの演技など、出来る筈が無い。常なら自信に溢れる筈のこの声も、情けなく震えてしまって。その事実が、この上なく口惜しい。
彼の言う通りに食事を進めようとしても、全く味なんて分からない。口に入れて、咀嚼して、飲み込む。作業の様なそれをどうにか繰り返しても、半分以上は残してしまった]
アタシも、いつも通りでは、いられないみたい。
[差し出された手>>297を、そっと取って、撫ぜられた指先に感じる優しさに、きゅうと胸が締め付けられる。
いっそ、その胸に縋ってしまえれば、どれだけ楽だろう。何処かへ行ってしまおうとする彼に、行かないでと懇願出来れば。
……けれどきっと、彼は応えてはくれない。そう考えれば、そんな無様な真似など出来なかった。困らせたいわけでは、ないのだから]
(302) 2014/10/06(Mon) 16時頃