[生徒たちの噂の内容よりも、マークは自分が直接ピスティオに会った時――つまり、絵には応じてくれたが結局一言も発してはくれなかった時の印象を色濃く抱いていた。その印象を簡潔に表すなら、「気難しい芸術家」。
たまに(マークはそう思っていた)中庭の辺りでちょこまかと見かける人影>>155が彼だったのだとも既に認識してはいたが、それでもこの印象が変わることはなかった。
今の食堂でのやりとりの内容は上手く聞き取れなかったが、包帯の少年に対してのピスティオの口数が「普通」と思える位にあると、マークの耳は感じた。
相手の少年――見慣れない顔だったから、おそらくは新入生だ――との具体的な関係こそ解らないまま]
( ……ひょっとして、僕は嫌われてた??)
[漸く、ようやく、マークは、その可能性に思い至った。
昔の堂々とした女装少年なら、そう思い至っても対して気に留めなかったかもしれない。けれど今のマークは、無意識に扉のすぐ傍の壁まで後ずさり、固まってしまった。
髪だけは二つ結いで、あまく香る薔薇まで飾られている、ほんとうに女の子のような髪型のまま。**]
(301) 2018/05/16(Wed) 18時頃