…っは――…、
[白いのが退室した後、盛大に息を吐く酔っ払いが部屋に一人。
飯は終わった。空になった食器を積み上げて、後は台所まで運んで行けばいい話。
だがまあ、今日は少し飲みすぎたか。
神威の前では意地でも見せなかったものの、連日の業務の疲れと飲みすぎたアルコールはぼんやりと男の脳を揺らして。
もう今日は人に任せようか。
立ち上がりかけた腰を再び座布団の上にどっかり下ろして、しばしの沈黙の中揺れる思考を紡ぎ出す。
白と黒。
二人の繋がりはあの日確かに途切れ、残り感じる物は今は一つも残って居ない。
それでも、約束通り帰ってきてくれた。
翼を失くしたとしても彼は確かに自由な天使であると、それを証明して見せたのは他でも無い先の彼で。
――ああ、よかった、なあ。
全てが以前のような元通りになった訳じゃない。良い意味でも、悪い意味でも。
けれどその手伝いの為に走り回る価値はこの世界に、自らを取り巻く世に確かにある訳で。
そして彼もまた、その価値ある物の内が一つ。]
(299) mzsn 2015/09/25(Fri) 23時半頃