────ッ、げ、ほっ、 ごほっ、……ぅえ、っ……
[逆流した闇が口から零れ出て地面へ落ちる。
巻き込まれた胃液が喉を焼いて、鼻の奥を突いた。
香りの甘さが、口に広がる苦みと矛盾する。
視界が滲む。頭が痛む。吸い込む空気の冷たさにまた咳き込む。]
……か、はっ、……、…………う……
[しばらくえずいた末、全て出し切ったのか、何も上がってこなくなった。
息を吐く。肩が下がる。倦怠感と徒労感に襲われる。
体内へ収めておけたのは、どれだけの間だったか。体感よりもずっと短かったかもしれない。
結局のところ、最初からの印象の通り。
・・・・・・・・・・
生理的に受け付けないのだろう。
ああ、くそ……と心中で毒づきながら。
ようやくその存在を思い出して、まだ立ち上がれないまま、逢魔が時へ目線を向けた。*]
(298) sleepingxalice 2022/09/22(Thu) 15時半頃