[ああ、そうだ、と浴衣に話を戻す。]
浴衣は、此処の更衣室に色々置いてあったから、君も着てみるといい。
きっと似合うと思うよ。
[メールの絵文字が可愛いという彼女>>285には、曖昧に笑って誤魔化した。内心では、そうか、ああいう絵文字を使えばいいのだな、と心のメモに書きとめる。
続く、どうも甘酸っぱいようなデリケートそうな話題には、軽く眉間にしわを寄せた。]
急に可愛いと言い出す……?
そうだな、普段言わないような相手であれば、何か思うところがあるのだろう。
本心――なのではないのかな、きっと。
案外、恋の端緒なんてこともあるかもしれない。
[だって、君は実際可愛らしいしね、と付け加えて。]
……なんて、私も色恋の類は随分とご無沙汰だから。
的外れなコメントでなければ良いけれど。
[勘定を済ませて階下に戻ろうとする彼女には、ひらひらと手を振って、手元のグラスに再び口をつけた。]
(298) 2011/06/30(Thu) 15時半頃