[腕を組みつつその場で考え込む事、一間。はっ、と唇から短い息を零しながら、瞳を瞬かせた。]
――――そう、だ。 店の、電話番号とか、……
[――こんな事になるなら、昨日聞いておけばよかったか。
店先に書いていないか、暫く扉、窓、看板と視線を走らせる。だが、それらしき物が少年の目に留まる事はなかった。
…流石にお手上げだ、と。じんわりと疲労で痺れる足首を、くるりくるりと回しつつ。
もう一度、静けさを保つ店内を窓越しに覗いては、肩を丸めながら踵を返し、のろのろと歩きだす。
――運悪く、配達か何かと被ってしまったのかもしれない。何せ、一人か二人かで営業している本屋だ。
ぼんやりと店についての記憶を辿りながら、また一つ、疲労の滲んだ息を落とし。ぼんやりと再度手に取った機器に表示される新着を、惰性のままに開き見た。*]
(290) 2014/10/08(Wed) 22時半頃