― ???:→本屋前 ―
[――シメオンと別れたのは、一体いつの事だったか。ともあれ、遅くなる前に、なるべく早く、と走り。細い道を抜けて行った。
そうして、本日二回目。本屋の前へと辿り着けば、肩で息を吐きつつ、店先へと近づき。カウベルのあるであろう辺りに視線を飛ばしては、一段と大きな息を地へ吐くのだった。]
――…、 …、 ……あ …れ?
[ふ、と顔を上げては、目を瞬かせる。
店内は妙に、暗かった。マフラーの層を下へとずらしつつ、怪訝そうに首を傾げては、窓から中を窺う。
――薄っすらと雲間から零れる陽光が窓辺に差し込む他に、店内を横切るものは、ない。]
[履歴書を持って来る――というのは今日の話だった筈。
ふと、ポケットから機器を取り出し、光を灯しては、そこに表示される時間を見遣る。営業時間と照らし合わせてみても、時間に問題はなさそうだった。
なら、と困惑したように唇が緩く曲がり、浅い息が鼻から抜ける。]
(289) 2014/10/08(Wed) 22時頃