― 幾世代前の、幕間 ―
[その子>>2:112は、望まれ産まれた筈なのに、望まれてはいなかった。
人となり役割を忘れてしまった弱り果てた黒い家と、未だ翼を持ち支えんとする白い家。
ヒトを越えた力を持ちつつもヒトの形をしヒトの心を持った両の命の行く末は、きっと見守る全ての物に予想が出来た結末だっただろう。
しかし孕んでしまったモノだけは、全ての予想を裏切って。
産まれ落ちた灰の子は白の聖痕も黒の聖痕も受け継がず、吉凶の証として両の色から引き離された。
その先を知る物は居ない。けれど、待ち受けていたのは数多の苦痛と、恨みの連鎖。
何れその子がどの家の元に落ちたとしても、それは部外者の、余所の家の物が知る所では無い。
時を越え、世代を変え、傷だらけの灰天使≪キル・ミー・エンジェル≫となった今でも、遺伝子に刻まれた言葉は深く深く根付いたまま。
その言葉は――…*]
(287) 2015/09/17(Thu) 21時半頃