-黒猫の店-
クシャ、 行くぞ。
[夕闇のなか、ふらり、帰宅する。黒猫はなんて言って出迎えただろうか。
野良猫は大きく伸びをして、霧雨に濡れたダークスーツを脱ぐ。そして乱暴にソファーに掛けた。きっと後処理は黒猫が何とかしてくれる。
草臥れたシャツから覗かせる自分の身体は、随分と細く。腰回りは以前よりもワンサイズ落ちてしまった。
きつく締めたベルトも外して、自室へと向かう。
お気に入りの白いジャケットは相変わらずそのままで。
下は黒いワイシャツに、キャメルのスラックスを履く。煙草臭い自分でも、多少は清潔感はあるように見えるのではなかろうか。]
おい、まだか。
[黒猫の準備はまだだっただろうか。
自分は台所に行き、冷えきったポトフを温める事だろう。それを大きめの皿に移す。
一瞬だけ激しい嘔吐感に苛まれたが、なんとかブロッコリーを嚥下した。そうやって少しずつ消化していき、黒猫を待つ。
黒猫がやってくる頃には、空の皿だけが残されていただろう。]
(286) 2014/12/09(Tue) 22時半頃