― 中空→砂漠の泉《オアシス》 ―
[北極星《シメオン》を抱えたまま、分かたれた地のひとつ、砂漠の泉《オアシス》の傍に降り立つ。
先ほど鳳凰が砂漠の街を焼いた災禍には巻き込まれず、そこはまだ水をたたえ、宇宙《そら》に輝く幾億光年向こうの星々を映してゆらめいていた]
……きれい
[ぼんやりとそれを眺めて、束の間の安らぎを得る。
北極星《シメオン》から手を離してしまえば再び吸い上げが始まってしまうため、その体は己の膝に下ろしたまま、砂まみれの中の僅かな緑と水の傍に座り。]
太陽《おとうさま》はどうして、この宇宙《そら》を見えないようにしてしまったのかしら…
[世界が円環である限り、中の存在はこの星が世界のすべてではなくて、より大きな宇宙の中のひとつであることにも気づくことはなかっただろう。
その意味を、考える]
(285) 2012/02/02(Thu) 00時半頃