……とは言っても、アタシ彼に会ったのは一昨日なのよ。
その火の粉っていうのも、何を指しているのか全然分からないわ。
["火の粉"……一体どういう意味だろうか。何か、"彼"の身に危険が及んでいるとでもいうのだろうか。
ざわりと戦慄く心を抑え込み、自らの羽根を遊ばせる少女を見る。
強く握られ真っ白になった手>>276を、そっと取る。そうしてそれが叶ったなら、爪の食い込むてのひらを半ば無理矢理にでも開かせ、手袋の無い赤い指先で撫でる様に触れただろう]
……アタシは、そのベネットっていう人が何処にいるかも分からないから、何にも言えないけれど。
得たかもしれない居場所を失うのが嫌なら……その人に会いたいのなら。自分で、探してみたらどうかしら。
[顔が背けられる直前、彼女の目尻に浮かんだ光には気付いていたけれど、何も言う事はしなかった。
もし彼女が目の前で涙を流したのならば、それを慰める事はしただろうけれど。隠そうとするのなら、それを暴いてまで彼女を慰め様とは思えない。――きっと、彼女もそんな事は望んでいないだろうから]
(284) 2014/10/08(Wed) 21時半頃