―カリュクス宅―
[躊躇いがちに肯く姿に、不味い事を聞いただろうかと眉を下げる。せめてもとそれ以上を追求する事はしなかった。追求せずとも、この年頃の女の子が、一軒家に一人で住んでいる理由なんて、そうあるものでもない。
ケープを脱ぐ天使を見ながら、ジャニスは小さく首を振る。長居するつもりはないのだと、そう示す様に。
ふわりと舞った羽毛を視線で追いながら、露になった翼に目を細める。――美しいとは、思うのだけれど。けれどそれ以上に、人にそれが付いている不自然さに眉を寄せた]
……火の粉、ね。
[ぽつりぽつり、会話を交わしながら。誘われるがまま天使に続く。ふるりと揺れる翼から、彩られた壁>>269に視線を移し。恐らく彼女だろう子供と、その母と。それらの写真を、無感情な瞳で眺め見る。――ふつりと途切れた写真には、痛ましげに顔を歪めるくらいは、したかもしれないけれど。
……カナリア。ちらりと天使の翼を見ながら、そういえば彼女はカナリアだったと思い出す。この写真に映るカナリアと、何か関係があるのだろうか]
(283) 2014/10/08(Wed) 21時半頃