不埒な狼なんて、どうかしら。
逃げるウサギなら見たのだけど…
ああ、もう。からかうのはよしてってば。
[手に作られた狼には軽快に笑みを返し、その口元に手を当てます。薄目にその顔が何かを楽しみにしているような表情であると云うことには、待ち人かな、なんて思うこともあったでしょう。学生はお茶会の片付けを手伝いながら、何気なしに映した彼女の背中に――思わず目を見開くのです。
ぱたぱたと揺れる何かは、彼女のスカートを揺らし。下衆たことは考えないけれど、脳裏に並ぶ言葉は獣人。学生は先程見た級友の動揺を思い出し、またしてもはたりと目を瞬かせ睫毛を震わせるのでした。あまり強くに言及するのも悪いけれど、しかしそれが本物であるなら、このまま真直ぐに家を出るのも悪手だと、僅かに震える唇を開きます]
…ねえ、もしかして…犬か何かのコスプレ、してる?
[隣に立って食器を置き、洗っているのならそれを横から攫うこともしたでしょう。そうでなく玄関へ向かうのなら、ご馳走様と一人呟き鞄を片手に持ち首を傾げます。学生は彼女の尻尾から目を逸らし、その大きな瞳を見つめました。*]
(281) 2014/10/06(Mon) 12時半頃