[思えば、"鎌鼬"と"亀吉"には、それなりに共通点があったような気がした。例えば、そう。横文字が苦手とか。
――コミュニティはコミュニティ以外に、言い様があるのだろうか。…流石に、それぐらいは通じてくれる筈、と信じたい。
最後の文には、やはり首を傾げた。草履から今の今まで、何かあっただろうか。]
……どうして、俺?
[――懐かれた? …犬猫じゃあるまいし。
見つかりそうにない答えを探すのはすぐに諦めた。それよりも先に、出来れば早急に探すべき物が、目の前にあった。]
…ちゃんと、残ってるといいけど。
[少し埃被った、くたびれ、膨らんだ通学鞄。教科書の類も、細かなプリントの何枚かも、全てがここで眠っている。
もしかすれば、忘れてしまった先生の名前も――。
洗面所に、洗剤と共に置かれたままの手拭いを、胸に思い浮かべる。雨音が屋根を叩く日でも、アイロンをかければ乾くと予想を重ねながら。
送信のボタンを押しては、ソファーに携帯を軽く放り投げる。
難航する事態をぼんやりと想定しつつ、袖を捲っては、薄埃を落とす作業に取り掛かった。**]
(277) 2014/10/06(Mon) 12時頃