[あ。 まず。と、思った。苔と湿ってぬるついた池の縁石を踏み外していた。 かなづちなのはエニシは百も承知で、こっちの弱みはこの間レンにすっぱ抜かれたばかりだから、おそらく全生徒が知っている。──二重にまずいなあと斜めに傾いていく視界の中で思った。 慌てた声がスローモーションに聞こえる。 取り乱したエニシの顔と投げられるジャージ。 とっさに、手を伸ばして、] [ ば きん ] ( えっ )[水中、暴れた足が何か。 ─── 何かを壊したような、へんな音がした。]
(265) 2018/09/08(Sat) 13時半頃