―日曜の午後・赤羽根教会―
[しばしの回想を乗せてバスが走り去っていく。御渡市の郊外にある丘陵地。そこから徒歩で一、二分。
こんにちはー、と訪れた赤羽根教会。
午前中は日曜礼拝がある(ついでに言えば私も神社の手伝いをする)から、大体いつもこれくらいの時間だ。]
まゆちゃん、もう手は空いてるー?
[勝手知った様子で顔を出す。
普段だったら、高校とか教会での日常とか、他愛ない話がまゆちゃんとの話題になるのだ、けれど。]
えーと……その、ね。
昨晩ちょっとLINEでも言ったけど。
[その日の私は珍しく口が重くて、言い出しかけては口をつぐんでしまう。けれどやがて、意を決して彼女を見つめた。]
まゆちゃんは、さ。
『運命の相手』っていうの、信じたこと、ある?
私、この春くらいからずっと。それでモヤモヤしてるんだよね……。
[そう質問を投げ掛けて、待雪ちゃんの返事に耳をそばだてた。**]
(265) 2016/06/15(Wed) 19時半頃