[こんな事をしたら兄に怒られそうだ、なんて頭の片隅によぎったけれど、
気がつけばやんちゃだった子供の頃のように、窓から外へ飛び出していた。
その勢いのまま、積もった雪に足を取られてベシャリと派手に転んで雪の中へ突っ伏す。]
…冷たッ!!
[ふかふかの雪の感触は、冬の川の冷たさに似ていて、
左目に口付けて笑って逃げた、あの姿が脳裏をよぎって逃げる。
見たんだよと家族に訴えたことも、高熱で寝込んだ子供の戯言と笑い飛ばされて、
夢だったと納得して忘れたはずだったもの。]
なにしてんすか!!
その手、何して…!!
俺の事手当しといて、自分がそんなになってるなんて、
どうかしてるっすよ…ヴェスさん。
[中へ戻ろう…と手を差し出しながら、その赤から目を逸らせなくなる。
薔薇の香りがする…と思った。]
(264) 2011/12/24(Sat) 08時半頃