[店にはたくさんの客が来てくれる。
今日はセシルが音楽を弾いてくれた。ヨーランダやメアリーやプリシラも店に来てくれた。国は少しずつ戦火に包まれているけれども、この店はまだ光を失っていない。]
(俺も…国の為に…皆の為に…そしてトニーの為にできることをしなくちゃ…)
[そう心に刻むと店に居る客たちに向けて大声を張り上げた。一斉に客の目がこちらに向く、普段慣れないことなので恥ずかしいが高まる鼓動と共に思いをぶつけた。]
今日はみなさんご来店ありがとうございます!!
実は俺、ギリアンは、この度義勇軍に参加しました。これから戦争が激しくなれば店を空けるかもしれませんがどうかごひいきに!
俺みたいなデクの坊だけど、みんなが安心して暮らせるように料理人として、義勇兵として頑張るんで…。
みんなこれからも…。
[続きを言う前に巨体がぐらりと傾く。]
[その瞬間、ときがスローモーションになったような気がした。]
(あれ…。身体が…うごか…な)
[そう思った瞬間意識が途切れた。もう、永遠に戻ることもない意識が…―――]
(263) 2011/11/20(Sun) 00時半頃