(それから、)
[守る割には、
そこの悪魔達を棄て置いた儘。
慌てて逃げようとする素振りも無い。]
[青年の奥の悪魔に眼差しを戻す、が、]
[……。]
…… けど、そうだな。
君が違うっていうなら、違うのかな。
ごめんね、
君が、"悪魔に人を襲わせる”様な
怖い人だったらどうしようって、
まあ、有り体に言えばカマを掛けたんだけど…
[綯い交ぜにされたウソには、拍子抜けな程に、そう、あっさり――――、『そんなワケないか。』と、信じるような口振りを見せて、肩を竦める。苦みを交えながらも、糸を切る様に相好を崩した。
尚、初対面の人間を試すような素振りをしたことへの白状については、向き直った彼のものとは別の色合いで、一応金眉は垂れていたが……、すぐに、その弓なりは緩まる。その原因は、懇願めいた言葉の、すこし前の、名前にあった。]
(262) 2016/06/17(Fri) 20時半頃