――自室――
[ ――通りの名前は確かに合っていたはずだった。ただ近道になるかとおおよその目安のみで歩み進めたのがいけなかった。結局自宅へ帰るまでにどれほど労力を使ったのか。ベッドに投げ出した足は未だ棒のように痛んだ。
それでも習慣付いた目覚めに。深いため息を吐いて上半身を起こし、軋む身体を押してひとまず起き上がれば、サイドテーブルに放ったプリントの存在を思い出した。
休暇に入る為に、課題として紙面に箇条書かれた項目はいくつだったか、と落ちそうになる目を擦りながら確かめる。]
――、……。
[ ずらりと並ぶそれらに深刻な面倒臭さを覚えながら、とりあえず、と棚に並んだテキストから必要な分を取り出した。
机の上にそれらとレポート用紙を置いた、ところで。硝子箱のなかの蚕が、くしゃりと桑葉の音を立てる。
――それを一瞥だけして。乱暴に机から冊子類を薄い鞄へと放り込んで行く。3項目分程度をしまい込めば、ベッドに投げ置いた。手早く支度を済ませ、鞄を手に取り部屋を出る。
硝子箱は振り返らなかった。]
(262) 2014/10/02(Thu) 05時半頃