―過去:Michelle《ミカエル》の話―
[裏切りの合図は、Judah《ユダ》の接吻
微塵も警戒をしていなかった、それどころか信頼して任せた背後から振り降ろされた凶刃。
ミカエルと呼ばれた男は為す術もなく、崩れ落ちる
赤に散る金は、場違いに鮮やかに映える]
『なっ、Judah《ユダ》お前!』
[しかし、背後の目に浮かぶXIIの文字を持つ人物に、相棒の並みならぬ決意を悟ると、ごぽりと血を吐きながら、笑って見せる]
『…そうか、お前が…破滅《ミライ》を回避しようとして…出した結論か。
じゃあ、仕方ねーな…お前、俺より頭いーもん、”正しい”んだろ、それが』
[崩れ落ちる視界に、研究所《ドック》から派遣された人員の姿がかすんで映る]
『気に病むな。お前の信じる道を往け。…お前と相棒でよかった』
[一見男―――その実無性別体の”使徒”の亡骸は、研究所《ドック》の手へと落ちた]
(258) 2010/09/14(Tue) 20時半頃