[どうやら地面に叩きつけられることは防がれたようで。
この瞬間だけは恐怖も忘れて、ただほっと胸を撫で下ろした。
自分でもおかしな事とは思うのだけど、お化けといえど、余り陰惨なシーンは目撃したくない。
まして、人型に近いのなら余計だった。
また、高度が下がった事により、ある程度目視が先ほどよりしやすくなった。
不安げに糸に巻かれた吸血鬼の様子を伺うと、鋭い視線が心臓に突き刺さるように感じられた。
赤い瞳、縦に切り裂かれたような虹彩。
初めてまともに吸血鬼を真正面から捉えて、再びカタカタと身体が震えだす。
しかもよくよく見れば、飛び散った血がまるで生きてるかのように蠢いているではないか。
やはりこれは、何か術式の一種だったのだろうか…?
オカルトには詳しくないが、何と無くそんな風に見えてくる]
(256) 2011/10/23(Sun) 00時頃