―回想→眼鏡屋―
途切れたその先>>1:300は、一体何を紡ごうとしていたんだろう。僕は噛んだ下唇を離して消えてしまった言葉の向こうを待ちました。待てども見えないその先を待ち、来たる別事のジョークめいた言葉には苦笑にも近い笑顔を浮かべます。「ドームなんて、そんな」―まるで水槽じゃあないか。僕は笑みをそのままにひらひら手を振るのです。そもそも、科学者に直談判したところで捕まりそうだと、その様を思い浮かべてぶるりと身震いを促しました。
「…気にしないでください。僕はこれに慣れなきゃならないのだから、」
ヘルメットが外され外の空気に触れた途端。僕に向けられた謝罪には凛としてみせたことでしょう。女性を落ち込ませるのはよろしく無いと、幼少の頃植え付けられたそれを元に僕は彼女に笑むのです。苦笑とはまた別のそれで、曇天に似合わぬ晴れやかなそれを。
(248) 2014/10/06(Mon) 03時頃