あぁ、だけれど。大事な事を忘れていた。
"私の知る猫は笑わない"。
――……ならば、"笑っている"君は。やはり猫ではないのかな?
[視線の先に見えるのは、"チェシャ猫の笑み">>234。
彼が"チェシャ猫"なのか、否か。それはまだ、男には知る由も無い事だけれど。
しかしそれでも、紫のベストを着た猫の耳と尾を持つこの木の上の存在に――その者が浮かべた、その笑みが。
嗚呼きっともしもこの場で突然彼が消えたとしても、瞼の裏には残り続けるのだろう、と。そんな奇妙な不快さと心地よさを、男に与えたものだから。
だけれど、もしも近くに居るはずの"時計ウサギ"とこの"猫"が、何か話があるようならば。
"アリス"はその状況を暫し眺めはしたのなら、遠くに見えるその家に行くか悩んだ後に――部屋を後にしようとは、するだろうけれど。]
(248) 2015/06/19(Fri) 14時頃