[貰ったものは、"きちんと"返してやらなければ。まるでそうとでも言うように、此方からも余計な一言をプラスして返した言葉に対し、返ってきたのは思いの外"素直"な一言>>223。
きっと思わず出たのであろうその言葉の後には繕うような言葉が続きはしたけれど。お生憎様、男の耳はそこそこに良いものだったから、それを拾い漏らす事はしない。
クツクツ、クツクツ。
思わず肩を揺らしてしまったのなら、片手で拳を作って口元に当て、細めた目で傍の"時計ウサギ"に視線を送る。]
……失敬。
[笑った事を一応は詫びつつも、愉快な事には変わり無く。
"何だ、存外ユーモアがあるじゃあないか"、なんて言葉は胸の内に――恐らくは彼としても、無意識の事なのだろうし。
結局最後まで取り出される事の無かった時計には、ここまで来れば男は既に興味を失っている――だって、男の皮肉に対してこんな言葉を返す輩が、本当に自分の探す時計を持っているとしたのなら。
ここに来て、その姿を見せない事はないだろう、と。]
(243) 2015/06/19(Fri) 14時頃