―― 談話室 ――
[マユミの空けたスペースは、2人分いただいたところでまだソファには空間があっただろう。この古城に似合いのサロン室は狭くもないし、ゴミ捨て場から持ってきたらしいソファ以外にチェアも存在するが、せっかくの夜に“談話”するのだ、距離を置くのももったいない。
「彼女」を挟んで座るのは、マユミが“食べ差し”に手を出すような女性でないことを知っているからだ。]
お言葉に甘えて。
俺の分も「彼女」に頂こう。
……どうやらそろそろ血が足りないみたいでね、
まっすぐ目的地にむかえるほどには、
「彼女」もう、足が動かせないようだから、
これで回復させてもらうよ。
[拝受したクッキーを「彼女」の指へ。非常に緩慢な速度で咀嚼し始める彼女の首筋にふたつ赤黒い穴があるけれど、そこ以外は真白い衣服が慎ましく包んでいる。]
(242) 2018/11/04(Sun) 02時頃