[何故、など問われなければ話さないし、
理由など単なる気まぐれとしか言いようがない。
中途半端に致命傷を負った躯を抱えて、豪奢な椅子に凭れる]
『…あの気紛れ猫め。
―――だが、悪くない。良くやった、MICE』
[血色の乏しい顔に、薔薇のような唇が弧を描いて。
”始祖”を狩らんとする粗野な足音を直ぐそこに聴きながら、恍惚とした表情を浮かべる]
『良いよ、この躯、呉れてやる。
妾(あたし)はちょっと”死”を堪能してるから、其れまでに面白い事を用意しておけ、世界《ル・モンド》』
[ミケから受けた傷に、自らずるりと華奢な指をめり込ませ、凍らせる。
それは弱った躯を凍てつかせ、凍てついたそれはパリパリと砕け散る]
『―――ああ、悪くない』
[”始祖”は死《始まり》にうっとりと呟くと、壊れた人形のように動かなくなった**]
(240) 2010/09/14(Tue) 18時半頃