[ 本名を名乗られて、少し慌てる。彼女にとって、名前を間違えるのはとても失礼なことなのだ。営業名のほうは相変わらず間違えていたが。]
クズミ、ハルカさん?
ほな、パパラッチさんゆうんは、本名ちゃうゆうことどすな。
やあん、昨日ちゃあんと教えてくれはったら良かったんに。
失礼しましたえ。
[ 謝りながらも、射線は“猫又”から動かさない。
ハルカの説明を、ゆっくりと聞いて。]
ほん、その“猫……の“鬼”どすけんど……。
契約したゆうことは、ハルカさんの思い通りに使いこなせはるゆうことでええどすな?
[ 悪意のない人間ならば、協力したほうがよい。しかし、身に“鬼”を抱えた人間にコロコロ出会い、その全員を容易く信用できるものだろうか?
当然の疑問が頭を巡り、答えが出るはずもないまま、ぐるぐると止まらない。]
そんで、ふたりで何してはりましたの?
[ どうも今更になってしまった質問を、彼女は弓を下ろしながら、口にするのだった。
彼女には感知できないが、マガタマがここには二個ある。果たして落ち着いて、会話をし続けていられるものか──*]
(235) 2016/06/17(Fri) 17時頃