[リンダと深い関係にない男には、必死で病のことを隠すつもりだったリンダのことなど知らず]
なぜだ――なぜ。
なぜこんなことが起こる!?
悪魔の呪いにでも魅入られたっていうのか、この村が――
[膝を落とし、震えながら呟く。不意に、はたと顔を上げて]
――ピッパだ。
あの女のせいじゃないのか!?
あの呪いを受けた女を始末しなかったから、こんなことになってるんじゃないのか!?
あいつは悪魔に呪いを受けたんだ。
殺してしまおうって声だってあったじゃないか!!
そう、今からだって遅くは――
[そんな言葉が口をついた。口元を抑える。
――ピッパと親交がないわけでもない。ピッパの両親のことを知らぬわけではない。呪われた、などと言う罪の重さを、『眠り姫』などという詩的な揶揄で曖昧にしたその本人が、致命的な言葉を口にしていた。
視線を感じて振り向く。想い人が、こちらを――]
(235) 2010/07/03(Sat) 21時頃