[どうしよう、と真っ先に思った。
もうこの身は生きるも死ぬもわからない。
ヤマモトの持つ銃弾の効果は誰にも試せていない。
攻芸は、戸高とバスケをするのが好きだった。
>>230 >>231
攻芸がバスケを始めた理由は、『吸血鬼の首を股の間にスリーポイントシュートできるようになりたかったから』というちょっと(だいぶ)変わった理由である。
何気ない(何気ある)理由で始めたバスケが、初めてみれば実に面白い。攻芸は傍目にどう見えるかはさておいて、実に人が好きだった。
高校に進学して、三年生からのあたりが強くなった。
攻芸はそれをやっかみだと判断できるほど人の観察が得意でなく、悪意に鈍かったが。ともかく、その状況をどうにか変えて、チームの皆と結んでくれたのは、戸高だ。>>231
人の生に固執したくなったその居場所を構築する手助けを、恩も着せず、自分がそうしたいからというあまりにもサッパリとした理由で作り上げてくれたのは戸高なのである。
怒るはずだと、攻芸は思った。
思ったからこそ――こんな時に、こんなにも。
生きていたいと思わせられるとは、考えてもなかった。]
(234) 2019/05/03(Fri) 18時半頃