ー回想ー
『犬なんて飼い始めたんですか?』
[大好きな人の声を思い出す幸せな回想に尻尾が揺れて、けれどその言葉で凍りつく。話に聞き耳を立てるのも悪いとかそういうことではなく、ただとろとろと回想に耽りどんな話だったか、どんな声音だったかを探ることができずに、不安と混乱が広がって]
『出ておいで』
[どうしたらいいかわからずに心臓がばくばく鳴っているところでかけられた、穏やかな声。そう呼ばれるということは、大丈夫ということなのかもしれないけれど...]
(もしそれでだめだったら、先生が後ろ指刺されるかもしれないのに...)
[自分が悪く言われるのは当たり前だから良いのだけど、やはりとても優しい人が排斥されるのは、と考えているところで呼び声がもう一つ。これで出て行かなければ、きっともう呼ばれないと考えてしまって、そっと襖を開けて教授の後ろに隠れるように正座して。
自らの姿を見た青年は、驚きもせずに笑って声をかけてくれた]
貴方が、向日葵みたいだって言ってくれたのが、嬉しかったから
向日葵が、好きになったのよ?
髪飾りも素敵だったし
[緊張していて、まだ少しぎこちないかもしれないけど、そう微笑んで]
(231) 2014/10/08(Wed) 12時頃