人狼議事

1 とある結社の手記:6


【人】 小僧 カルヴィン

[夢うつつに思い起こすのは、昔のこと。
「お父さんには内緒よ」と、母が澄ました顔で語ってくれた昔話。

少年の父は人狼で、少年の母は人間だった。
母も身体の弱い人で、
古い屋敷に閉じこもりがちな生活をしていた。
そんな母に、いつも笑顔をくれていた人がいたのだと。
不器用だけれど生真面目で、素敵な人だったのと。

――――その人物が、郵便配達のアルバイトを
始めた頃のウェーズリーだとは、勿論少年は知らない。
母は秘めた思い出を、ときどき大切そうに、
ぽつりぽつりと語るだけだったから。

本家の都合の見合い話で、その後、母は父と結ばれることとなる。
そして父の仕事の為に、母は父と共に村を出た。

…………少年だけが村へ残されたのは、
いわば彼が虚弱で出来損ないにも近い人狼であり、
父から半分見限られていたから為なのだが、それはまた別の話*]

(229) 2010/02/26(Fri) 02時頃

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