─露店─
“うち、あかんわ……。”
[苦しげな表情で呟いた小鈴に、“俺”は首を傾げ“私”は目を細めた。
これ以上進めない、とぎこちなく不自然な言い分で立ち去っていく彼女を見送る。>>209]
『石について調べてたんじゃないのか?』
[やれやれ。まだ不思議な石を買いに来ただけ、という認識でしかないようだ。そんな“俺”を“私”は小馬鹿にするように笑う。
“私”の蛇に気がついていた様子といい、小鈴には何かしら感じ取れる力があるようだ。その小鈴が不自然に立ち去ったという事で、ますます怪しげを増す石。
蛇を一匹遣いに出そうか、とも考えたが止めておいた。
千秋と共にいる“それ”が彼女の後を追うのが見えたからだ。>>225
“私”は千秋に問いかけた。]
いいのか?「おなかま」を追いかけなくても。
[“私”は露店商の女性をジッと眺める。腕にまとわりついた蛇は、“私”の代わりに千秋を見ていた。**]
(229) 2016/06/15(Wed) 13時半頃