―ついっ [長い爪が男にしてはつるりとした頬に赤い跡を残した]あの時の礼ねぇ[耳元に残るおんなの呪詛の言葉]おまえの言動をみているとこの国を守るためやっぱり私のしたことは正しかったようだな[吸い込まれるような黒曜石の瞳を見据え返しながら言葉を返し宮廷錬金術師の座をうしなったお前など もう道具にもならぬ厚ぼったい唇の端を少しひきあげて踵を返す女の耳に小さくつぶやいた]
(228) 2013/02/16(Sat) 03時半頃