――、猫だった?
[ 赤子を宥めるそれに似た動きで、握った手を揺らしながら頷かれたのには、はたと顔をそちらへ傾ける。しかしその瞳が、厚く層を重ねる頭上へと向いていれば。その足取りが心許なくなるのに、拒まれなかったなら力を込め、僅かに引き寄せた。――滲み出るほど、と想像を小さく回しながら。
……隣立つ相手に「帽子屋さん」と呼ばれれば、先ほどのお伽噺に擬えられたのだろうとは予想が付いた。>>185窺うような視線が絡めば、黙ってただ小さく口角を上げる。]
どうかしたの。――皇、マユミさん。
[ 自身へ呼びかけられた名前には否定も肯定もしないまま、ただ既知の名前をほんの微かに、掠れた声で滑らせた。
――続けて尋ねたマカロンの母国の説明を受ければ、大学の、と頷いて。]
――ッ、……!
[ ダンスパーティーだって、の後に繋いだ手を強引に引かれた>>186 のには、一瞬体制を崩しかける。それでも言葉を真似るように相手が回ってみせるのには、よろけた姿勢を何とか整えれば、辺りに2つ分の軽い跫音が響いた。
手を取る相手に向いているかも、と笑みを深められれば、浮かべた薄笑いをやや硬くさせる。]
(227) 2014/10/04(Sat) 02時頃