[――追われていた>>180様な、気はする。
けれど振り返った先に彼は居なかった。その事実に、安堵の息を吐いた]
……何よ。身体能力、高いんじゃなかったの?
[思わず、恨みがましい声を落とす。ジャニスは捕まえて欲しかったのだろうかとぼんやり考えて、一つ、長い息を吐き出した。……そんなわけがない。
今も小さく震える体は、確かに獣の青年の事を恐れていた。……けれど、それでも]
――勿体無い事しちゃったなあ。
["獣人"に会う経験なんて、そうそう体験出来ないだろうに。あれはきっと役作りに使えた筈だ。
だのに逃げ出してしまうだなんて勿体無い。……今度獣人に会ったなら、もっと慎重に動かないと]
ああ、クソ。コート置いてきた……、
[舌打ち一つ。汚れたコートはテラスの席にかかったままだ。彼が態々回収してくれているとも思えないし、白いそれはそこに置かれたままなのだろう。
けれど、まさかそれを取りに戻る気持ちも湧かずに、そのままふらりと歩き出す]
(226) 2014/10/04(Sat) 02時頃