……でもいいの。いいのよ。今は全て忘れて、いいの……[相手に向けてか、それとも自分にか。手が触れると少し体を強張らせる。頭の芯が熱っぽい。けれど、ただマットの端をぎゅうっと握って、釦に手をかける彼の頭を片手で抱いて、抵抗せずにじっとしていた。上着が肌蹴られて、なだらかな胸元の稜線が露わになって。ほっそりとしてしなやかに伸びる、黒タイツを履いた両足が見えても、そのままに。ススムに見えているものは違うものかもしれないけれど。彼を見つめる目はほんの少し醒めていて、残りは愁いを帯びている。]
(219) 2013/12/09(Mon) 22時半頃