155 楼夢館


【人】 白銀∴秘星 マユミ

……でもいいの。いいのよ。
今は全て忘れて、いいの……

[相手に向けてか、それとも自分にか。
手が触れると少し体を強張らせる。頭の芯が熱っぽい。

けれど、ただマットの端をぎゅうっと握って、
釦に手をかける彼の頭を片手で抱いて、抵抗せずにじっとしていた。

上着が肌蹴られて、なだらかな胸元の稜線が露わになって。ほっそりとしてしなやかに伸びる、黒タイツを履いた両足が見えても、そのままに。
ススムに見えているものは違うものかもしれないけれど。

彼を見つめる目はほんの少し醒めていて、残りは愁いを帯びている。]

(219) 2013/12/09(Mon) 22時半頃

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