[その方角と距離は嫌な予感を掻き立てるには十分過ぎた] どうして、御渡が……慶一っ!![踵を返して来た道を駆け戻る。 雷が物を焼く独特の臭いは次第に濃くなり、 運良く難を逃れた人々の悲鳴が切れ切れに耳に届く] 何があったの!? 慶一は、何処に……。[まともに説明できるほど、冷静な者はいなかった。 苦い顔で歯噛みをする] 逃げなさい。 街は危ない、山へ……渡背へ行きなさい。 あそこはまだましのはず。[言い放って、決して多くはない人の流れに逆らう。 鳥居の前に立った時、そこにはどんな景色があっただろう*]
(213) 2016/06/21(Tue) 18時頃