[目の前の少女が、何とも失礼な問いを飲み込んでいる>>198とは露知らず。代わりに言葉を成した問い>>199に、男はほんの小さく小さく笑いはしただろうか。]
科学塔…あぁ、科学塔。そう、そこに勤めている。
――……なんて言えれば、君との話題にもなったのかも知れないがな。
残念ながら、私の勤め先はまた別の場所だ。科学者かどうかは、ご想像にお任せするよ。
だが君の言う事には同意しよう。御伽の国の生き物の力には、私を惹きつけてやまない魅力がある。
その友人とそんな話をする事は、とても有意義な時間だよ。
じゃあ車を持ってくるから、すこしそこで待っていてくれ。
心配しなくても、これでも運転は丁寧だと評判なんだ。
[朗らかな笑みすら浮かべながら、戯けたようにそんな事を言ってみせて。手にした菓子折りをすこし持ち上げ礼を示せば、くるりと踵を返して扉を開ける。
そして扉を開けた所で、ふ、と。足を止めれば、男は振り返らないままに一言だけ言葉を告げる。]
(213) 2014/10/04(Sat) 01時頃