[五年前のとある日の早朝。
物が多いのは随分前からの自室、
一人暮らしの筈が他の気配を感じてはじめは物盗りかと警戒した。
うっすらと目を開いてその気配を探ると、
恐ろしいほど無防備に背を向けて何かしている姿が見える。
知り合いにしてはおかしいと静かに近づくと
色とりどりの紐で夢中で遊ぶ妖精の雛、トレイルがそこに居た。
どこから来たのかもよくわからないが
妖精が生まれるときはだいたいそんなものだ、多分自分も]
おい。
[きらきらした紐に絡まってなんだか嬉しそうなそいつを見たとき、
当時仲の良かった女の子に預けてしまおうなんて考えは浮かばず
お前には向いてないからやめろという年寄りの声も聞かず
そのままこの家で育てると決めた。
女遊びは減るやら食い扶持の為に仕事は増えるやら、
大変だったがそれ以上に楽しくて毎日が満たされている。
それはトレイルの見た目が大人に近くなった今でもそう]
(213) 2014/05/12(Mon) 18時頃