菫──こういう匂いがするんだ。嗅いだことなかったけど、良い香りだね。呪術……じゃあ、あれがあの子の占い方なのかな。[言って、五寸釘を打っていた生徒を今一度ちらりと見遣る。]──シノン、髪に触ってもいい?[菫は──道端で見かけても、手に取って香りを嗅いでみたことはなく傍に寄っただけで届く程強い芳香を放つ花でもない。漂う香の幽かであったからこそ、逆に香りは強く印象に残った。シノンから許可が降りれば艶やかな黒髪の一房を手に掬い取り菫を嗅ぎ取ろうと鼻を寄せる。]
(212) 2014/03/04(Tue) 01時半頃