― 回想 ―
>>139
[厳しい顔に、さすがに甲斐も黙り、困惑の表情を浮かべる。
そうどちらも大事な幼馴染なんだろう。気を失っている珀、行かないでと泣きそうな耀。それを支えることに迷いのない甲斐。
羨ましくもあり、同時に少し甲斐自身が心配になったのは、顧問としてか、それとも?
ともかく、しっかりしなければならない立場の甲斐に、なお、しっかりしろと言うことは酷なのかもしれないと思いながら、甲斐だからこそ、と厳しく言ったのだ。]
――……風呂?
[交換条件です、という提示には正直瞬いた。
だけど、どっちも濡れ鼠だ。心配せずとも風呂は入る、といおうかと思ったが、なんだかそれで押し問答になれば、耀も珀もまだ落ち着かないことになる。]
わかったよ。背中流してやるさ。
[珀をお願いしますと立ち去るのに、そう返事をし、甲斐が通り過ぎるとき、
囁いた言葉に、頬をピクリとさせた。
挫いた足がバレている。]
(210) 2011/05/18(Wed) 17時半頃