[木々はざわざわと音を立てている。返事をしているのだがしていないのだか、よくわからなかった。だが、少なくとも此方の話が全く通じていないわけではないらしい、と察せられた。ミイラやら、不味そうやら、ぽつりぽつりと言葉が風の音のように認識出来たから]
持ってんのか持ってないのかはっきりしろよ。
……って、持っててもただじゃくれなそうだけどなあ。
いっそ力尽くで……
[と、其処まで言って、ふっと冷静になり]
……そういや、結局、なんか変わってるのか? 俺。
変わってなかったら……すげえ、やばくね? この状況。
…… お、おい! 誰かいないのか、おい!
[きょろきょろと忙しく辺りを見回し、大声をあげた。誰か近くに来てはいないだろうかと。しかし返事が聞こえる事はなく]
おい…… !? うおっ!?
[此処はなんとか隙を見て逃げ出すべきか。そう考えた次の瞬間、傍らの地面がぼこりと盛り上がった。驚いてじっと見つめていると、土を掻き分けるようにして、何かが地上へと出てきた]
(210) 2011/10/20(Thu) 22時半頃