[目障りな『明日色《キボウ》』を投げたか…。
微かにそう≪闇≫が呟く聲が聴こえるが、構わず蠅皇帝《ベルゼブブ》は槍真に『隷闇剣《フライズブレード》』を打ち込み、熾天魔槍を軋ませる]
≪- 理解るか……くけ……
我等≪闇≫に不要な情持つその翼《ココロ》こそが……くけ……
誰よりも貴かった貴様の光《つよさ》を鈍らせる事を………くけけ…… -≫
………それは……
[嘗てのオスカーは、≪闇≫を、≪悪≫を、断罪する事に一つの躊躇も容赦も持たなかった。
その強さは、それが当然であり、常識であると言う、ある意味で愚直なまでの熾天使《セラフィム》の道徳観念が為せるものでもあったが。
だが、ネルフェリウスを熾姫都から、天界から追放した迷いを心の内に持った事が、そのまま暴走へと、そして氷結氷河《コキュートス》への封印と繋がった今の槍真には。
微かな"隙間"が生じたのだ]
(209) 2011/06/14(Tue) 23時半頃