[ノックに対して道化は「入れ」と入室を許可した。中に入ってきたノックの主>>195を見ると、道化は微笑みを浮かべる。]
グレッグか。ありがとう。
そこに置け。
[顎でくいっと適当な場所を指し示す。
ふと、盆を置いたグレッグの顔を見て道化が眉を顰める。]
頬が汚れている。
[何処かでついたのだろう、若い坊やの頬は少しばかり汚れていた。
道化は立ち上がりグレッグにゆっくりと近寄った。]
こんな雀斑みたいな汚れをつけていては
折角の顔が台無しだ。
[そう口にする道化の言葉はグレッグの耳に柔らかい響きを持って聞こえたろうか。少なくとも責める口調ではなかったのは確かで。
道化はポケットから白い清潔なハンカチを取り出すとグレッグの頬を拭いてやった。
道化がその動作をするのに背を屈める必要はなかった。それ程二人の背丈は近いのだ。]
(197) 2014/12/10(Wed) 20時頃