[ ビルから飛び出してきたふたりの女性──酒呑童子にとっては“鬼”であったが──へ、酒呑童子は容赦ない攻撃を浴びせる。
長い爪を剥き出しにした拳をよけながら、揺籃が剣撃を浴びせてくる。
彼女が、酒呑童子の元にある魂に気付いた頃だろうか。>>178
ふっと、後ろに飛び退ると、酒呑童子の意識は、新たな“鬼”へと向いた。
上空に身を隠す、“鬼”へと。>>175]
『ヒーホー! マハマグナスからの〜』
……マハグラ…ダイン……《重力結界》
[ ふたつの“鬼”の魔法は、ほぼ同時に展開された。
周囲や頭上にと浮き上がった瓦礫の数々。酒呑童子はそんなものをお構いなしに、圧倒的な重力波ですべてを地に叩き落とした。
凄まじいまでの爆音を撒き散らしながら、瓦礫は落下する。
酒呑童子の身体は、完全に岩石によって覆い尽くされ、その姿は見えない。もう一つ走った氷の魔法は、地面ごと辺りを凍らせた。
もうもうと立ち込める砂煙の中、凍りついた瓦礫の下で、“鬼”は再び動くだろうか。
重力の魔法は、上空に潜む“鬼”を捉え、地に墜とせただろうか。*]
(196) 2016/06/21(Tue) 14時頃