[彼>>134の前に戻れば、僅かに低い相手の瞳を覗き、一寸喉を唸らせる。
どうせならば、菓子か飲み物でも用意しておくべきだっただろうか。我侭への労いが言葉…と紙幣だけなのも、素っ気ない。
とはいえ、今から外へ出る気にはなれなかった。]
――お店、放っておくのも何だし。
ちょっと店番するつもりだけど……吉サンは、どうする?
[そう投げかけて。首を横に振りながら、苦笑する。]
…――店番、と言っても。
きっと、いないよりはマシなレベル、だけどね。
[バイト代が入ったら、真っ先に和菓子を送ろう。
そんな楽観を下しつつ。カウンターの裏へと回っては、置かれた椅子に腰かけて。徐に鞄の中から、春を思わせる花の描かれた便箋を取り出す。
手にしたままのボールペンの先を罫線の上へと置くと、静かに息を落とした。そうして、今日の日付を書き込んでは、物語のような長い話を筆に乗せる。
…もし、覗きこまれる気配があれば、さっと伏せて隠しただろう。]
(194) 2014/10/11(Sat) 00時頃